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ローゼンメイデンが普通の女の子だったら

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 23:11:09.34 ID:xKSitaO40
このスレはもしもローゼンメイデンが普通の女の子だったらという妄想を垂れ流すスレです



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sinineta] 投稿日:2008/04/09(水) 23:33:48.69 ID:vHPMv+f50
保守がてらに…


投下します。

Wild Bunch!

( ゚д゚) <SFマカロニウエスタン
( ゚д゚) <町を追われた水銀燈は電波女に助けられ…
( ゚д゚) <電波とか言うな!

( ゚д゚ ) < Wild Bunch!  レディーーーー! ゴーーーーーッ!! 




翌日の夕暮れになって、水銀燈は目を覚ました。

全身打撲で正直、何をするのも辛いが…
それでも、大きな怪我が無かったのは奇跡と言って良い程の偶然だった。

途中一度、目を覚ました気もするが…
どうも、その辺りの記憶がはっきりしない。
まるで夢でも見ていたかのような……

ともかく、何とか生き延びる事が出来た。
そして…自分の様子を見るに…
見ず知らずの自分を看病してくれたお人よしが、助けてくれたらしい。

だからと言って、油断は出来ない。

(悪い人間ではなさそうだけど…だからって、良い人間とも限らないわねぇ…)

そして、そんな明らかな警戒心を露にした水銀燈を他所に…
焚き火で料理を作っている女性はニコニコとご機嫌な笑みを浮かべていた。





    0. Boogie?Woogie Cookin´



 

「はい、天使さん」
女性は楽しそうに笑いながらそう言い、水銀燈に皿を差し出す。
「ミルク粥作ったの。食べてみて?」

水銀燈は、体の痛みもあるが…それ以上に警戒して、手を伸ばさないでいた。
その様子に女は、暫く考える素振りを見せたが…やがて水銀燈の横にやってきて、地面に座る。

「私はめぐ。ただの旅人よ?ね?怪しくなんてないでしょ?」
そう言いながら、ミルク粥をスプーンに掬って差し出してきた。

「私は…天使なんかじゃないわよぉ…」
水銀燈は少し顔をしかめて目をそむけるが…
「あら?だって、あなた空から降ってきたんですもの。それに、綺麗な髪…。きっと天使さんよ」
めぐは相変わらずご機嫌な表情で答える。


髪。銀髪のせいで、魔女と呼ばれ、悪魔と陰口を叩かれてきた。
その髪を褒め、自分の事を天使と呼ぶ人間。

警戒を解くわけにはいかない。そう思いつつも…内心、揺れる。


「こんな真っ黒で、ボロボロの天使なんて居る訳無いじゃないのぉ…」
水銀燈は小さく呟くが…そんな呟きにもめぐは楽しそうに答えてくる。
「ふふ…ほら、すねてないで…一口だけでも食べてよ」

わざわざ治療しといて、料理に何か仕掛ける…そんな面倒な事をする理由は、無い。
水銀燈は自分にそう言い聞かせながらも、スプーンと、それを差し出すめぐの顔を交互に窺い…
 

めぐはそんな水銀燈の仕草に、
「お腹がすいてるけど、遠慮してるのね」と勘違いし、さらに料理を手に笑顔で近づいてきた。

水銀燈は……ついに根負けして、ミルク粥を食べる事にした。

と言っても、めぐがスプーンを差し向けてきてるので、口を開くだけだが。
あーん、と開けた口に、めぐがスプーンに乗った粥を入れてくる。
そして、もぐもぐと咀嚼する水銀燈に向かって、めぐは相変わらずの笑みを向ける。

「…お味はどう?」
「……最悪」
「でしょ!?」

めぐがケラケラと楽しげに笑う。
「何でか知らないけど私って、いっつも料理失敗しちゃうのよ」
「よく他人にそんなもの食べさせようと思ったわねぇ…」
水銀燈が不貞腐れた表情をする。

「そお?栄養はバッチリだし、天使さんに元気になってもらうには一番だと思うわよ?」
めぐは相変わらず、楽しそうな顔でそう言ってのける。
「とにかく、一生懸命作ったんだから、ちゃんと食べてね?」

めぐは水銀燈の前に、不味い粥が入った皿を置く。
 

水銀燈は今度は自分で粥を掬い、口に運んだ。
…やはり、酷い味に変わりは無いが…だけれど…

「…とんでもない不味さねぇ…」
「うーん…一体、何がいけないのかな…?」

だけど、不思議な温かみが、そこからは伝わってきた。

(よりによって…変な人に助けられたわねぇ…)
水銀燈は心の中でそう悪態をつくも…
気が付けば、自分の頬が少し持ち上がっている事に気が付いた。


―※―※―※―※―


二人が食事を終え、めぐがその片付けを終えた頃…
太陽はすっかり地平線の彼方に沈んでしまった。

めぐが熾した焚き火の近くに、水銀燈は膝を抱えるように座り込む。

…これから、どうすれば良いのか…
町を追われ、行くあても無く…生きる術すら見当たらない。

そんな水銀燈の横に、めぐが体を寄せて座ってきた。

「…ねえ天使さん…天使さんは…何であんな所から落ちてきたの?」
「…天使じゃなくて、水銀燈よぉ」
 
答えをはぐらかす水銀燈に…めぐは何かを察した。

誰一人、崖から落ちた水銀燈を助けに来てない事。
あんな夜中に、一人で荒野に出ていた事。
そして…帰る場所について、未だに一言も言及してない事…。

どんな事情かは分からないが…
めぐは、水銀燈も一人ぼっちなんだと気が付いた。

「ねえ…もし良かったら…私も一人旅には飽きちゃったし、一緒に旅でもしない?」
そう言い、煙草に火をつける。


水銀燈は少し考える。
どこか、知らない町まで。それまでは一緒に居ても良いかもしれない。
それでどうする?その町で、どうやって糊口を凌ぐ?
結局…その答えは出ない。

「煙草吸ってると…長生きできないわよぉ…?」
水銀燈は無理やり話題を変え、めぐに背中を向けてそう呟く。

めぐは…どこか寂しそうな表情を一瞬見せ…やがて静かに微笑んだ。


暫く二人並んで座っていたが…不意にめぐが、体を少しずらしてギターに手を伸ばす。
「素敵だと思わない?どこまでも自由な…そんな旅をしてみるのも…」
…目を瞑り…小さな、静かな…綺麗な声で歌を紡ぐ。
 
 
「――からたちの――花が咲いたよ――
    ――白い――白い――花が咲いたよ――」


崖から落ち、意識を失って生死の境を彷徨ってる時…どこからか聞こえてきた歌…
まるで眠りに落ちる瞬間のような…静かな気分になる歌…
(――…この歌は…あの時聞こえた……)

まるで水面に浮かんだ泡が消えゆくように…
水銀燈は、不思議と自分の心から警戒心が薄れている事に気が付いた…。



ふと、めぐはギターを弾く手を止める。

「水銀燈は…これからどうするの?」

水銀燈は膝を抱えたままモゾモゾと動き、背中を向けたままめぐに近づく。

「…続き…歌って…」

めぐは背中越しに少女の鼓動を感じながら…少し、微笑んだ。


―※―※―※―※―

 

太陽が昇り、再び沈み…そして東の空がまた明るくなってきた。
 
水銀燈の怪我もすっかり回復、とはいかないが、それでも歩ける程には回復した。

「うん。大分良くなってきたみたいだし…どこかに行きましょうか!」

そう言い、めぐは水銀燈の格好を見る。
…出会った時のまま…つまり、ボロボロの修道服。
「どこか…そうね、町を目指しましょ」

そう言うめぐに、水銀燈は視線を向ける。
ブーツカットの、裾の広がったズボン。
ズボンと上着の袖からは、いかにも西部劇なヒラヒラしたものが伸びている。
そして、背中に背負ったギターと…時代遅れのウインチェスターライフル。
一目見ただけで、変わり者と分かるが…
それに付いて行く気な自分も、傍から見れば変わり者なのだろうか。

心の中でため息を付く水銀燈を他所に、めぐは咥えていた煙草を指先でピンと弾く。
煙草がクルクルと空中で回り…地面に落ちる。
そしてめぐは、煙草の先が指す方角を眺め…
「さあ、行き先も決まったし、さっそく出発しましょう」


馬は荷物で一杯な為、ひたすら徒歩で荒野を行く。

容赦なく照りつける太陽が、旅に不慣れな水銀燈の体力をジリジリと奪う。

途中何度か休憩を挟みながら…それでも、目指す方向に進む。
 
「ねぇ…本当にこっちに町なんてあるのぉ…」
水銀燈がぼやく。
「…うーん…ちょっと待ってね…」
そう言い、めぐが地図を広げる。
「あ!うん、大丈夫。明日には着く…かな?」
「本当に大丈夫なんでしょうねぇ…」

途中水銀燈は体力の限界を見誤り、何度か脱水症状に見舞われるが…
それもめぐの甲斐甲斐しい世話ですぐに回復した。

そして歩き続け…太陽が再び地平線にかかり始め…

「今日はここまでにしましょうか。どこか場所を探して、キャンプにしましょ」

めぐの一言で、水銀燈の旅の初日は終了した。


―※―※―※―※―


枯れ草を拾い、持っている道具で焚き火を作る。

水銀燈が熾したばかりの焚き火の側でぐったりしてると…
「ねえ水銀燈。晩御飯、何にしようか?」
相変わらず元気なめぐの声が聞こえてきた。

水銀燈は、これまでのメニューを思い出す。
何故かは知らないが…本人すら何が悪いのか気付いてないが…めぐの料理は不味い。
ある意味、これは才能だと認めざるを得ない。

慣れない長距離移動で疲労の溜まった体で、そんなめぐの料理を食べる。
正直、想像しただけで、ゾッとする。


水銀燈はなけなしの体力を振り絞り、立ち上がり…
「ねぇ、めぐ…今夜は…私が作るわぁ…」
「あら?なら、お願いしちゃおうかな?」
そんな気も知らないで、めぐは嬉しそうな声を上げた。


水銀燈はやれやれといった感じで食材を一瞥する―――

…あての無い一人旅を続けていただけあって、食料は豊富だ。
それなのにどうして…あんなトンデモ料理が出来るのだろう…
心の中で盛大にため息をつきながら…改めて食材を眺める。


自分も料理なんてした事が無いと、気が付いた。

「とりあえず……あらぁ?コレは…?」
食材の隅に、見慣れぬ小さな容器が転がっているのが目に留まった。
「……牛乳…にしては…容器が小さいわねぇ…」
食材の中に紛れていたのだから、変な物ではないだろう。
そう考え、それをちょっと飲んでみて……

「!!!!!」
水銀燈は、小さな容器を片手に、その場に固まった。
 
不味かったのではない。
逆だ。
美味い。美味すぎる。

口の中でまろやかに広がる甘み。
優しさを凝縮したような口当たり。
体にも良いと、本能が叫びを上げる。

―――これを使って料理を作ろう―――

夢見るようにうっとりとした視線で、水銀燈はそう決意した。





「めぐぅ、出来たわよぉ」
暫くして、そう言う水銀燈の声が焚き火の傍から聞こえてきた。
「うん、今行くわ」
そう返事して、めぐは馬にブラッシングをかける手を止める。

「ふふふ…我ながら、大成功だと思うわぁ…」
水銀燈は思わず笑みを浮かべながら、そう言う。
示す先には…

鍋の中には肉と野菜。そして…
グツグツ煮えたぎるヤクルト。

めぐの頬がピクっと痙攣した。

(何が!?何が『大成功』なの!?ドッキリ大?成?功?と同じ類の『大成功』って事!?)

だが、水銀燈はそんなめぐの表情に気が付かない。
「さぁ、めぐ…私がよそってあげるわぁ」
そう言い、めぐの皿にヤクルト煮を盛りつけた。

めぐは少し青い顔をしながら…恐る恐る、それを口に運ぶ。

これは酷い。かつて無い衝撃が口に、喉に、腹に響く。
不味い。確実に不味い。とことん不味い。クリティカルに不味い。
世界の終わりを料理で表現するなら、まさしくこんな感じだろう。


水銀燈はご機嫌な表情で感想を聞いてきた。
「…お味はどうかしらぁ?」
その顔からは、いかにも自信が溢れている。

「…ゲロみたいな味ねえ…」
どんより顔のめぐが膝の上に皿を置き、水銀燈に視線を向ける。
「私の料理より酷いとは思わなかったわ…」

「何よ何よぉ!めぐの料理よりはずっと美味しいはずよぉ!」
そう言い水銀燈は、自分の作ったヤクルト煮を口に運ぶ。

確かに、不味かった。

二人して、ヤクルト煮を食べて青ざめた互いの顔を見る。
「……」
「……」
「……プッ…」
「…ふ…ふふふ…」
「はは…あはははは…あなた…何ってモノ作るのよ水銀燈」
「あははは……何よぉ…斬新で素敵じゃなぁい…」



いつ以来だろう…こんなに笑ったのは…
いつ以来だろう…こんなに楽しいのは…
いや…ひょっとすると、これが初めてかもしれない…



二人の笑う声が、どこまでも澄んだ星空に響いた――――




                                     ⇒ see you next Wilds...


 






167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 23:13:55.24 ID:+wZ7/ByiO
前回のプロローグは【上着を】【脱いで】スレ>>27-30です。

  ?あらすじ?
田舎から大都会東京にやってきた翠星石。
いきなり駅で都会アレルギーを発症しかけるが、
お人よしの青年との出会いでなんとか落ち着くことができた。
まだまだ不安は消えないけれど少しだけ都会でやっていく勇気を得て、
彼女は改札口を通りすぎた。


それから三ヶ月。
都会に慣れ始めた翠星石に大きな困難が立ちはだかろうとしていた…

はかなくも桜の花びらは散って、
新緑の木々がやわらかな風にそよぎ、
雨が世界を包みはじめた頃。

私はすっかりこの街に溶け込んでいた。

わりと適応力があるほうだったのだろうか?
田舎にいたころには考えられない生活環境と生活リズムも、
今ではすっかり当たり前のものとかしていた。


シャワーを浴びてリビングに戻ると着信があったことを知らせる赤い光の明滅。
携帯を開くと履歴には実家の番号が記録されている。

タオルに髪を挟むように水分を拭き取りながら片手で発信ボタンを押す。

数コールの機械音ののち聞こえてきたのは妹の丁寧な口調…

『はい――です。』

「あー、蒼星石ですか?」

一応確認しておく。まぁ万に一つも間違うことは無いのだが。

『あっ、翠星石かい?もーっ!何回掛けたと思ってるのさ』

「すまねぇですぅ。ちょうどお風呂に入っていたんですよ♪」

『相変わらずお風呂が長いんだね。まぁ…変わりないみたいで安心したよ。』

さっきまでの刺々しい物言いから打って変わって優しげな口調になる妹の声。
蒼星石も変わりないようで心底ほっとした。

「まぁ翠星石にかかれば東京も、なんてこたぁねーですよ。」

…冗談混じりにそんな強気な言動をしたことが、今となっては恨めしい。

『慣れたころが一番危ないって言うよ?気をつけなよ、姉さん。』

妹の言葉は予言のように正しかったのだが、私はそんなことを知るよしもなく

「大丈夫ですよ。蒼星石も近いうちに遊びに来るがいいですぅ」

と、無邪気に笑っていた。



『 Heart Share Mansion 』
    第一話



「え?家賃が払われてない?」

蒼星石の電話から一週間。
私の部屋を尋ねてきたのはマンションの大家さん。
今、彼女は到底信じられないような言葉をその口から発している。

「あんたと私の間に入ってた管理会社が夜逃げしてねぇ」
「まだ一回も払ってもらってないのにだよ?この部屋の家賃。」
「可哀相だけどあんたに払ってもらうしかなくてね。」

そんな、そんな話があってたまるだろうか!

「私はちゃんと払ったです!毎月毎月6万8千円!」

しかもまだ先の七月分まで払ってあり、
敷金礼金とあわせると七十万近くを払っている計算になる。
それはおじじとおばばが無理をしてまで出してくれた大切なお金だ。
いまさらまた同じだけ出せと言われて出せるものではない。

「そう言われてもねぇ。」


それからもあーだこーだと長々と続く交渉。
かれこれ一時間近くも私たちは話しあい、そして一つの合意を得た。

騙されたのは両者とも同じ、大家さんに否がないわけではない。
だから大家さんはこの三ヶ月の家賃を私から請求することを取りやめた。
無駄かもしれないが逃げた業者に支払いを求めておく…ということである。

そして騙されたもう一人の被害者である私はこの六月で部屋を引き払い出ていくことが決まった。
理由は私と大家さんの間に賃貸契約が成立していないということ。
敷金礼金を払い直すならここにいられるというのだが、そんな余裕は私には無い。
したがって私は、あとたった三日間のうちに新しい住まいを探さなければならなくなってしまった…

六月の雨の中を独り歩く。
傘をさしてはいても心はずぶ濡れで、瞳には涙が溜まりっぱなしだ。

『慣れたころが一番危ないっていうよ…』

つい一週間前に蒼星石が電話で言った言葉が頭に浮かぶ。
なんてことはない。
慣れたころどころか始めからずっと私は騙されていたわけだ。

『大丈夫ですよ♪』

心配する妹にのんきに答えていた自分がうらめしい。
何が大丈夫だったものか。
私はついには顔をくちゃくちゃにして泣きじゃくり、立ち止まってしまう。

傘から垂れた雨粒が一つ、私の腕にポツリと落ちる。

――都会の雨は冷たい。
肌に伝わるそれは人の冷たさを感じさせてもいるようだ。

すれ違う人も追い越す人も涙する私には誰も無関心で、
三月の終わり、初めてこの地に足を踏み入れた日を思い出す。

あの時もすごく心細くて、戸惑うだけの自分がとてもみじめだったっけ。

――けど。
そんな私を一人の青年が救ってくれたではないか。
少しだけこの街で生きていく勇気を与えてくれたではないか。

私は涙を拭って前を見据える。
また誰かに助けてもらいたいの?
また誰かの優しさに甘えたいの?

――本音を言うと助けて欲しいし甘えたい。
今のどん底の私の前に手を差し延べてくれる人がもしいるならば、
私はその手に縋り付いて、その人のためなら何でもするだろう。

だけどそれじゃあだめだ。
それじゃあ私が東京に来た意味がない。
私は一つの目的を持って上京したのだから。
私にとって大切な目的…

それは両親を見つける、あるいは両親に“見せつける”こと。

育てるべき私たち姉妹を捨て、
守るべきおじじとおばばを捨てて、
いつの間にか都会に消えて行った最低最悪な両親。

私は見つけだして文句の一つも言ってやるために…
あるいは東京で大成功して、その姿を見せつけてやるためにここに来たのだ。

だからこんなところでへこたれてなんかいられない!
誰かの優しさを待っている暇なんてない!

私は再び雨に包まれた街を歩きだす。
小さな胸いっぱいに膨らんだ決意を込めて……

三軒まわった不動産屋はどこもかしこもにぶい返事だった。

蓄えもなく、仕事もアルバイト。
敷金礼金は払えやしない状態なのだから当然のことだろう。

だがそれに加えて時期も悪かったのだ。
安いアパートはことごとく貧乏学生が四月に入居してしまっていたから。

失意の帰り道、立ち寄ったコンビニで住宅情報誌を開く。

ペラペラとめくってみても私が入れるような条件の部屋はあるはずもなかった。

敷金礼金がいらず家賃が安いという第一条件に、
アルバイトをしているこの街周辺、できれば駅近くという第二条件。
さらに信頼できる大家、または管理会社であるという第三条件が新たに加わった今回の部屋探し。
見つかるわけがない。

「なんでですぅ…」

情報誌を閉じて私はつぶやきを漏らす。
それは偶然にも春に駅で漏らしたのと同じ言葉だ。
気付いた私は苦笑いを浮かべる。
全然ダメダメなままなのだなぁ…と。

冷たい雨の中で奮い起こした大きな決意も今や風前のともしびになり、
それを消しされるだけの大きなため息とともに私の口からはまたあの言葉。

「なんでですぅ…」

言葉と同時にプッと私を笑う声が横から聞こえたように思う。
笑われても仕方ないくらい私は情けないから気にはならなかったけれど。

次に聞こえてきたのはコホンという咳ばらい。

そして……

「それは…磁気化していない切符なんじゃない?ちょっと見せて…」

唐突に聞こえてきた声と内容には聞き覚えがあった。
顔を向けるとそこにはやはりあの時の青年。

私の手から取り上げた情報誌を眺めて、彼は少し笑みを浮かべる。

「これじゃあさすがに改札口は通れないなぁ。」

私はびっくりしたまま目を見開いて固まっていたのだが、
次第にゆっくりと自分の表情が変わっていくのを感じた。

「田舎ものだと、グスッ、思って、グスッ」

いつの間にか涙があふれているらしい。
からかい顔だった青年の顔も驚いたものへと変化していく。

「馬鹿に、ウゥッ、しやがるなですぅ、ふぅえーん」

私は思わず青年に抱き着いて大声で泣き叫びはじめる。

「えっ!?おいっ、ちょっと」

青年は店員や他の客の視線を気にしつつも突然泣き出した私をなだめようと必死だ。

「あんたはいつも泣いているんだな…」

言葉は呆れた風でも口調は優しい。

「うっせーですぅ、グスッ」

会う度に泣いているのは事実だ。
まだ名前も知らぬもの同士がまるで恋人のように寄り添っているのはとても不思議な光景であることも。

こんな馬鹿みたいな女をよくもまぁ受け止められるものだと思う。
本当にお人よしなやつ。

抱きしめると全然男らしくないひょろっちい体格がわかる。
見上げるとメガネの奥には情けなげな瞳が私を見つめている。
こんなやつに再会しただけであんなに張り詰めていた緊張が
こんなにも簡単に途切れてしまうなんて…

子供でもあやすように私の肩をぽんぽんと叩く手はあまりにも頼りない。

だけど私はその頼りない彼の手に確かな安らぎを感じて…

強くすがりつき涙をこぼし続けた。


面白かったので紹介も兼ねてスレから二つ切り抜かせてもらいました
続きや他の作品が気になる方は以下からどうぞ

ローゼンメイデンが普通の女の子だったら @Wiki

ローゼンメイデンが普通の女の子だったら画像保管所@Wiki

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