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真紅「いってらっしゃいジュン」【鬱注意】

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 20:53:50.32 ID:bQCONE5o0
「ああ、いってきます」
 そう返事をすると、ジュンは玄関の扉を開ける。
 真っ黒な学生服を身にまとい、鞄を背負い、玄関から外へと出て行く。
 それに伴い、バタンという音と共に玄関の扉が閉じた。
「あージュン行っちゃったのー」
 少し遅れて、雛苺と翠星石が玄関に姿を現した。
「残念ね。もうジュンは行ってしまったわ」
「くぅ。あと少し早く起きていれば……」
 翠星石は悔しそうに言う。
 二人ともジュンの見送りをしたかったのだろう。
 最近ではドール達が毎朝ジュンを見送るのが日課になっていた。
 しかし朝は早く、今日のように間に合わない日もたまにあった。
「もう、一週間ぐらいですかねぇ」
 リビングへ戻る途中で翠星石が言う。
「巴も喜んでたのよー」
「彼女もジュンの為にいろいろと頑張ってくれたものね」
 真紅は今まで巴がジュンの為にしてきたことを思い出す。
「そのおかげもあって、やっとジュンは前に進めたのね」
 窓から外の道路を見る。
 塀の向こうで、何人かの学生が学び舎に向かって足を進めている。
 その中にジュンの姿もある。

 長い時間を経て、ジュンは学校に通い始めていた。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 20:58:20.86 ID:bQCONE5o0
 教室の扉を開け、中に入る。
 ジュンは早めに来たつもりだったが、既に何人かの生徒が教室の中にいた。
 その中に見知った顔、柏葉巴の姿もある。
「おはよう桜田君」
 巴はジュンに気付くと、挨拶をする。
「おはよう」
 ジュンもそれに返事をした。
 そして自分の席に着き、鞄を机の横にかけた。
「はぁ……」
 小さなため息。
 ――今日もまた、憂鬱な一日が始まる。
 ジュンは机に顔を伏せる。
 寝たふりでホームルームがくるまでの数十分を過ごすのだ。
 ジュンは登校を再開してから一週間ほど経つが、いまだに居場所を見つけることができなかった。
 寝たふりをしていれば、誰とも係わり合いになることはない。
 それが、今のジュンの考え方。
 再登校という大きな一歩を踏み出したものの、そこから先に進めない。
 自ら誰かと接することができなかったのだ。
 こうしてまた、一人ぼっちのまま時間が過ぎていく。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:03:05.55 ID:bQCONE5o0
「さーくーらーだー」
 それは二時限目終了後の休み時間でのことだった。
 二人のクラスメイトが寝たふりをしているジュンに話しかけていた。
 ジュンはそれに答えず、寝たふりを続ける。
「シカトかー。おいっ」
 ジュンの額にデコピンを食らわせる。
 額の痛みに、ジュンは顔を起こした。
 ――またこいつらか。
 ジュンは嫌々二人のクラスメイトに応じる。
「ああ、おはよう」
 目の前には嫌な笑みを浮かべたクラスメイト。
 かつてドレス作りが趣味なのかとジュンに問いただした二人だ。
「おはよー。桜田。今日も根暗だなぁ」
 ――余計なお世話だ。
 二人はバッグを背負っていた。
「今来たの?」
「あったりめぇだろ。朝早くなんてだるくて行く気しねぇよ。なあ」
「だよなぁ。やってられっかって話だぜ」
 ――クズめ。
「それでよぉ」
 二人の内、髪を逆立てた方がジュンに顔を近づける。
「もってきてくれたろ?」と耳元で囁く。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:07:16.53 ID:bQCONE5o0
「……ああ」
「さすが桜田。わかってんじゃん」
 ばんばんとジュンの背中を叩く。
「それじゃ、昼休みにいつもの花壇のところな」
 そう言って、二人は自分の席へと向かっていった。
「……くそっ」
 そう小さくつぶやくと、また机に顔を伏せ、寝たふりを始めた。

 昼休み。
 給食を食べ終え、片付けも済ますと、ジュンは席を立った。
 そして校舎裏にある花壇に行くため、教室を出る。
 その足取りは重い。
 ――いきたくない。でも……。
 ジュンは再登校を始めて二日目の事を思い出す。
 あれも、昼休みのことだった。
 ――――――――。
 ――――。
 ――。


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:11:18.93 ID:bQCONE5o0
 その日の昼休み、ジュンは校舎裏の花壇に呼ばれていた。
 ジュンを呼んだクラスメイトは二人だったが、花壇にはそれ以上の人数の男子がいる。
 他のクラスから連れてきたのだろう。
「おーきたきた」
「ヒッキー君とーじょー」
「久々の学校はどーですかー? ひゃひゃひゃ」
 ――なんなんだこいつら。
 ジュンの心に怒りがこみ上げる。
「なあ、どうしてまた来る気になったんだ?」
「ヒッキー生活ってどうよ?」
 ――うるさい。
「まだ女物の服作ったりしてんの?」
「またクラスの女視姦しにきてんのか?」
 ――うるさいうるさいうるさい!

 どんっ。

「いってぇ」
 男子の一人が、地面に転がる。
 ジュンが突き飛ばしてしまったのだ。
「おい、なめた真似してんなよ桜田」
 男子たちはジュンを取り囲みはじめる。


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/23(火) 21:13:12.51 ID:HyPKeKzEO
何このトラウマ


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:15:24.17 ID:bQCONE5o0
「おらよ、お返しだっ」
 突き飛ばされた男子が、お返しにジュンを突き飛ばす。
 ジュンは地面に仰向けで転がる。
「どーん!」
また別の男子が、ジュンの腹部を思い切り踏む。
「ぐふぅ」
 あまりの痛みにジュンは腹部を押さえた。
「ガードなんかしてんじゃねーよ」
 しかし、押さえた手の上から、男子たちは容赦なく蹴りを浴びせる。
「ぐっ……うぅ……」
 ジュンは歯を食いしばり、必死に痛みに耐える。
 しかし、限界はあっと言う間に訪れた。
「う……うげぇ……」
 ジュンは立て続けに腹部を蹴られたため、嘔吐してしまった。
「うわっ、きったねぇ」
「また吐きやがったよこいつ」
 嘔吐物が地面に広がるのを見て、男子たちは蹴るのを止める。
「まあこれくらいで勘弁してやんよ」
 そう言うとジュンの頭を足で踏み、嘔吐物に擦りつけた。
「あ、靴よごれちまったなぁ。買ったばっかりなのに」
「弁償させればいいじゃん」
「そうだな。桜田、明日五千円もってこい。持ってこなかったら……わかってるよな?」
 ジュンは涙を流しながら、頷いた。


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:18:12.76 ID:JC2kRL9zO
うわ痛そう…

支援


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:19:42.74 ID:bQCONE5o0
「それじゃあなー」
 男子たちは笑い声を上げながら、校舎の方へと戻っていった。
「くそ……」
 ――なんて惨めなんだろう。
 五時限目を告げるチャイムがなっても、ジュンは校舎に戻らなかった。
 少しして起き上がると、花壇の横にある水道で顔を拭く。
「なんで僕が……」
 その場に座り込むと、顔を伏せる。
「何で僕がこんな目に合わなくちゃならないんだよ!」
 そう叫ぶと、ジュンは再び涙を流す。
 ――もう、やめよう。学校に行くことが、そもそもの間違いだったんだ。

 夕方。
 ジュンは自宅へと帰ってくる。
「おかえりージュン君」
 のりが玄関で出迎える。
 今日は部活がなかったのだろう。
「おかえりですぅジュン」
「おかえりなのー」
「おかえりなさい」
 ドールたちもジュンの帰宅に気付き、声をかける。
「……ああ、ただいま」
 それだけ言って、ジュンは自分の部屋へと向かった。


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:23:34.65 ID:bQCONE5o0
 夕飯。
 のりやドールたちはしきりに学校のことを聞いてくる。
 その度にジュンは「普通だよ」「まあまあかな」と曖昧な返事でごまかす。
 ――なんで、そんなに嬉しそうなんだよ。
 ジュンが学校に通い始めてから、夕飯が以前より明るくなった。
 のりもドールたちも、ジュンが学校に行っていることが嬉しいのだろう。
 ジュンはそれに気付いていた。
 ――ずるいじゃんか。
 もう学校にいかないと心に決めたジュンだが、皆の様子を見て、気持ちが揺らぐ。
 ――なんでそんなに嬉しそうにするんだよ。裏切れないじゃないか。
 学校には行きたくなかった。
 しかし、ジュンは彼女たちの期待を裏切らないためにも、この苦痛を耐えることを選んだ。
 
 翌日の昼休み。
 ジュンは五千円を素直に渡した。
「わかってんじゃん」
「俺らも言うこと聞いてくれれば痛いことはしないからよ」
 男子達は上機嫌で金を受け取ると、笑いながら校舎へと戻っていく。
「これでいい……。これでいいんだ……」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:27:47.46 ID:bQCONE5o0
 ――。
 ――――。
 ――――――――。
「おーきたきた」
 いつも通り、五人の男子がジュンを待ち受ける。
「さすが桜田だなぁ」
 下品な笑い声が校舎裏に響き渡る。
「で、例のあれは?」
 茶髪のクラスメイトが手を差し出す。
 ジュンはポケットから一万円札を取り出すと、直接手渡した。
「おー、本当にもってきたんだな。おっかねっもちー」
「親のサイフからパクったりしてんじゃね?」
「桜田も悪だなぁ。もう俺達の仲間じゃん。ひゃひゃ」
 ――お前らと一緒にするな。
「ありがとよー。それじゃあな」
 男子たちはあっという間に校舎へと戻っていく。
 悔しさがないわけではない。
 だが、ジュンはのりやドールたちに心配をかけたくなかった。
 その為にも、ジュンは耐えた。
 暴力に対する恐怖に、そして、のりとドールたちに対する罪悪感に。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/23(火) 21:31:07.47 ID:KkGDPpoVO
梅岡は何をしているんだ


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:31:33.85 ID:RJqH0vPZ0
だいじょうぶJUMならできる
木刀を持ってDQNを撲殺するくらいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:32:17.64 ID:bQCONE5o0
 事の一部始終を上空から隠れてみていた者がいた。
「情けない人間ねぇ」
 黒衣のドレスに漆黒の羽。
「あれで真紅のマスターだなんて。真紅も見る目がないわねぇ」
 ローゼンメイデン第1ドール。水銀燈だ。
「ま、見てて面白かったからいいけど」
 ジュンが校舎に戻っていくのを見届けると、水銀燈も学校を離れる。

 彼女がそれを目撃したのはまったくの偶然であった。
 めぐが体調を悪くして寝ているため、暇になった水銀燈は空中を飛び回っていた。
 下品な笑い声が聞こえたので近づいてみたところ、見覚えのある人間がいたのだ。
 それこそが真紅のマスター、桜田ジュンであり、水銀燈の敵ともいっていい存在だった。
 真紅のマスターともなれば、見ていて損はないわね。
 そう考えた水銀燈は、ジュンのいじめの一部始終を覗き見していたのである。
「また、明日も見に来てみようかしら」
 そう呟いて、水銀燈は自分の寝床である旧礼拝堂へと戻っていった。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:37:21.66 ID:bQCONE5o0
 その日の夜の献立は花丸ハンバーグだった。
 雛苺と翠星石は上機嫌で花丸ハンバーグを食べている。
「やっぱり花丸ハンバーグはおいしいのー!」
「う?ん、デリシャスですぅ」
 食卓は花丸ハンバーグのおかげでいつもよりにぎやかだった。
 しかし、一人だけ元気がない者がいた。
「ジュン、どうしたの?」
「……ん?」
 ジュンに元気がないことに気付き、真紅は心配をして声をかける。
「元気がないみたいだけれど。学校で嫌なことでもあったの?」
「…………」
 ジュンは答えない。
「ジュン……?」
「久々の学校だからな。疲れてるんだよ」
 ジュンはやっと口を開ける。
「ずっと篭ってたから体力も落ちたみたいでさ。毎日へとへとさ」
 笑みを作って、言う。
「そうなの。この程度で疲れるなんて情けない下僕ね」
「誰が下僕だ誰が」
 ジュンはいつもの調子で話を続ける。
 ――そうだ、これでいい。心配をかけさせては駄目だ。
 作り笑いを維持して、ジュンは晩御飯を乗り切る。


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:42:03.67 ID:bQCONE5o0
 翌朝。
「いってきます」
 ジュンはそそくさと家を出て、学校へと向かっていく。
「あー! いってらっしゃいって言えなかったのー」
「チビ人間ってば行くのが早すぎですぅ。のりですらまだですのに」
 ドールたちは悔しそうに窓から学校に向かうジュンを見ていた。
 その様子をのりは嬉しそうに笑いながら見る。
「あ、今日は部活休みだから帰りに買い物していこうかしら」
 そういってのりは引き出しから生活費の入った封筒を取り出す。
「……あれぇ?」
「どうしたの?」
 真紅が声をかける。
「なんだか生活費が少し減ってる気がして……」
「きっと泥棒ですぅ」
「そうなのー!」
「泥棒だったら少しじゃなくて全部もっていくでしょう」
「そうよねぇ。気のせいかもしれないわね」
 そう言うと、のりはお金をサイフに入れて、玄関に向かう。
「それじゃあ、行ってくるわねぇ」
 のりも学校へと向かっていった。
 雛苺と翠星石が玄関で送っている間、真紅は一人で考え事をしていた。
 お金を盗ったのは、ジュンかもしれないという一つの考え。
「……動機がないわね」
 ジュンは毎月お小遣いをたくさん貰っている。
 お金に困る事はないはずだと真紅は考えた。
「のりの気のせいだといいんだけれど」
 真紅はジュンの学校がある方角を見ながら呟いた。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:47:06.28 ID:bQCONE5o0
「おはよう」
 ジュンが教室に入ると、巴が挨拶をした。
「ああ、おはよう」
 まだホームルームまで時間はあり、教室に人は少ない。
「ねえ、もう一週間ぐらいたつけど、どう?」
 巴がジュンに話しかける。
「大変だよ。ほんと」
「勉強はついてこれてる?」
「おかげさまでバッチリだよ。特に困ってない」
「そう、よかった」
 巴がそう言うと同時に教室の扉がガラガラと乱暴に開く。
「珍しく真面目にきちゃったよ」
「たまにはこういうのもありだよな」
 入ってきたのはジュンを苛めている二人だった。
 その内の片方、赤みのある短髪の男子は、ジュンの方を見ると、表情を変える。
「おう桜田、おはよう」
「……おはよう」
「今日の昼休み、いつも通りな」
 ジュンの耳元で囁くと、二人は自分の席へ戻っていく。
 それから少しして、担任が教室に入り、ホームルームを始めた。


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:52:08.12 ID:bQCONE5o0
 昼休み。
 いつも通り、ジュンは校舎裏の花壇に向かう。
「おーきたきた」
 待っていたメンバーは五人。これもいつもと変わらない。
 しかし、その中の一人の様子だけがいつもと違った。
 ジュンのクラスメイトである赤みのある短髪の男子だ。
 彼は忌々しげにジュンの方を見ていた。
「おい、桜田」
 短髪の男子はジュンを呼ぶ。
「なんだよ」
「お前、柏葉とはどういう関係だよ」
「……は?」
「だからどういう関係か聞いてんだよ」
 ――ああ、そういうことか。
 ジュンは瞬時に理解する。
 短髪の男子は巴のことが好きなのだろう。
 しかし、今朝ジュンと巴が仲良く話しているのが気になっているのだ。
「別に、付き合ってるとかそういうのじゃないよ」
「本当か?」
「本当だよ」
 ジュンは心底呆れた様子で答える。
 ――お前なんかが柏葉と付き合えるわけないだろう。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:56:04.20 ID:bQCONE5o0
「なんだその目は?」
「え?」
「馬鹿にするような目でみてんじゃねえよっ」
 ジュンの頬に衝撃。
 気が付けば、ジュンは地面に倒れていた。
 顔面を殴られたのだ。 
「俺が柏葉と付き合えないとでも思ってんのか? あ?」
 容赦のない蹴りが、ジュンの腹部を襲う。
「がふっ……」
 ガードが一瞬遅れ、蹴りが直撃した。
「内臓とか破裂すると面倒だから加減しろよー」
 他の男子がニタニタと笑いながら指示する。
「わかってる、よっ!」
 今度は足で、何度もジュンの背中を踏みつける。
「お前なんかに比べりゃぁっ、俺のっ、方がっ、よっぽどっ、可能性っ、あんだよっ」
 何度も、何度も、踏みつける。
 ジュンは歯を食いしばって耐える。
 ――すぐ終わる。すぐ終わる。耐えろ。耐えろ。
 しばらくして、昼休みの終わりを告げる鐘が鳴った。
「今日ので懲りたらあんな生意気なことすんじゃねーぞ」
 短髪の男子はそう言うと、他の男子を連れて校舎へと戻っていった。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 21:59:10.90 ID:bQCONE5o0
 五時限目が始まっても、ジュンは校舎裏の花壇に寝転がっていた。
 ――起き上がるのもおっくうだ。
 例えようのない悔しさと、腹部に残る痛みが行動させる気力を起こさせない。
 寝転がったまま、時間は過ぎていく。
 五時限目の終わりを告げる鐘が鳴り、しばらくして六時限目の始まりを告げる鐘が鳴る。
 時間はさらに流れ、とうとう六時限目の終わりを告げる鐘が鳴った。
 生徒達は授業を終え、部活動や帰宅のために校舎からでてくる。
 校舎から文化部の生徒以外の気配がなくなった頃に、ジュンは教室に荷物を取りに行く。
 そしてそのまま、何事もなかったかのような素振りで、帰宅した。

 玄関では、真紅が出迎えてくれた。
「おかえりなさい……ジュン、その顔どうしたの!?」
 真紅はジュンの頬にある痣に気が付く。
「あー帰ってきたのー」
「やーっと帰ってきたですね」
 後から雛苺と翠星石も玄関へと駆けて来た。
 それと同時にジュンの頬の痣に気付く。
「何があったのジュン?」
「……クラスのやつらの喧嘩に巻き込まれてさ。仲裁に入ったらこのざまだよ」
「あら、大事じゃなくてよかったわ」
「それにしても学校って危ないところですねぇ」
「巴が心配になってきたのよ……」
「お前らが想像してるほど危なくはないさ。今日のはたまたまだよ」
 そういってジュンは二階の自室へと上がっていく。
「今日は疲れたからもう寝る。姉ちゃんには夕飯もいらないと伝えてくれ。あと、朝まで起こすなよ」
 そう言って、ジュンは部屋の扉を閉じた。


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:03:21.41 ID:bQCONE5o0
「あらぁ、ジュン君お夕飯いらないのねぇ」
 のりは翠星石と雛苺からジュンの伝言を聞いた。
「今日は部活ないからいつもより力を入れてお料理しようと思ってたけど、残念ねぇ」
「あーんなチビのことは気にせず翠星石たちだけでリッチなディナーを堪能するですぅ」
「ジュンだけ食べれないなんて可哀想なのよ。翠星石はひどいのー」
「なーに言ってやがるですかおばか苺。チビ人間は自分からいらないって言ったんですから!」
 雛苺と翠星石が言い争っていると、インターフォンが鳴る。
 どうやら来客のようだ。
「はぁーい」
 のりは玄関まで駆けていく。
「あらぁ巴ちゃん。いらっしゃい」
「!!!!!」
 来客は巴だった。
「巴ーーーーーーーーーー」
 翠星石との言い争いそっちのけで、雛苺は玄関にいる巴のもとまで駆けていった。
「あはは。こんにちは雛苺」
 飛びついてきた雛苺を、巴は優しく抱きかかえる。
「今日はどうしたの巴ちゃん?」
「ええ、今日は桜……ジュン君のことについてちょっと……」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:06:03.75 ID:DLpssqw00
この頃からJUMは人を見下してたのかw


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:07:28.02 ID:bQCONE5o0
「ジュン君が五、六時限目を無断で欠席!?」
 のりは大声を上げて驚く。
「ええ」
 のりとは対象に、巴は冷静に話を続ける。
「一週間ほど前にも同じようなことがありました。
 でもその時はまだ再登校を始めたばかりだからと不思議には思わなかったんです」
 ジュンが始めてあの男子たちに暴力をふるわれた日のことである。
 しかし、それを知るのは当事者だけだ。
「毎日休まず登校していたから、もう学校にも慣れただろう。そう思っていたんです。
 でも今日、彼は午後からの授業に出なかった」
「でも……」
 真紅が二人の間に入る。
「ジュンはいつも通りの時間に帰ってきたわ」
「じゃあジュン君は五、六時限目をやっている時に、別の場所で時間を潰してたのね」
「多分学校から近いところでその時間を過ごしていたと思います。
 六時限目終了時点で、彼の荷物は教室にありましたから。
 きっと放課後、教室に誰もいなくなってから荷物を持って帰ったのでしょう」
「なんでジュン君はさぼったりしたのかしら……」
「ねぇ、ジュン君が帰ってきたとき、どこかおかしなことに気付かなかった?」
 巴は、ジュンの帰宅を迎えたドールたちに問いかける。
「……あ!」
 三体が同時に声を上げた。
「あったのね?」
「ジュンのほっぺに痣ができてたのよー」
「殴られた痕みたいだったですぅ」
「クラスメイト同士の喧嘩の仲裁に入って巻き込まれた、とジュンは言っていたわ」
 三体の話を聞き、巴の顔色が変わる。


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:11:43.65 ID:bQCONE5o0
「私は彼と同じクラスだけれど、今日一日、クラスで喧嘩なんて起きなかった」
「!?」
「じゃあ……」
「彼は、嘘をついている。彼は喧嘩に巻き込まれたりなんかしていない」
 巴は、そう言い切った。
「つまり、別の原因で頬の痣ができたってわけね」
「チビ人間ってば、翠星石たちに嘘ついてたわけですか」
「な、なんでジュンが嘘つかなきゃならなかったの?」
「きっと、今日授業をサボったことに関係しているはず。彼は、今部屋に?」
「うん。でも……」
 のりは言葉を濁す。
「でも?」
「ジュンはもう寝かしてくれと、部屋には入ってこないで欲しいと、そう言ったわ」
「そんな。それじゃ話を聞けないわ」
 巴は少し、うなだれる。
「こうなったら扉をぶち破ってですねぇ」
「翠星石ー駄目なのー!」
「…………」
 沈黙が、桜田家の居間を包み込む。
「今日はこれで帰ります」
 巴が沈黙を破って立ち上がった。


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:14:02.49 ID:6ySq9gdBO
なんかこっちまで鬱になってきた・・・orz


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:15:16.57 ID:bQCONE5o0
「明日の朝でもいいので、ジュン君から色々と聞いてみてください」
「うん。わかったわ」
「それじゃあ」
 巴は玄関へと向かっていく。
 のりとドールたちはそれを見送った。

「さて、チビ人間からなんとか聞き出さなきゃならないですねぇ」
 午後八時。夕食を食べ終わり、のりは洗物をし、ドールたちは居間でくつろいでいた。
「だから駄目なのー! ジュンは寝てるんだから」
「で、でもですねぇ」
「だったら夢の世界から会いに行けばいいじゃない」
「! そ、それですぅ」
 翠星石は手をパチンと叩く。
「それなら眠りを妨げることにはならないでしょう。ね、雛苺」
「わかったのよ」
「さっそくいくですよ。スィドリーム」
「その前に少し聞いて」
 真紅は階段を駆け上がろうとする翠星石を制止する。
「無理にたくさん聞かないこと、これだけを肝に銘じておいて。
 逆にそれがジュンの負担になってしまうかもしれないから」
「わかったですぅ」
「なのー」


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:18:57.07 ID:bQCONE5o0
 ドールたちはジュンの部屋に入る。
 ジュンはベッドの上ですやすやと寝ていた。
「スィドリーム」
 翠星石の指示で、スィドリームが夢の扉を開く。
「さあ行くですぅ」
 ドールたちはジュンの夢の中へと入っていった。

「凄いわね……」
「たけーですぅ……」
「うゅ……」
 ドールたちの目の前に、机の山がそびえ立つ。
「見たことあるわ。これは、学校に置いてある机ね」
「なんでそれがこんな山のようにあるですか?」
「ここはジュンの夢よ。学校が今のジュンの精神に大きな影響を及ぼしているに違いないわ」
 真紅は机の山を見上げる。
 てっぺんに、何か机とは別のものが見えた。
「上に何かあるわね。いってみましょ」
 そう言って、真紅は頂上に向かって飛び始める。
「あーまってぇ」「まつですぅー」
 雛苺と翠星石も、慌てて真紅の後を追った。


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:22:14.27 ID:bQCONE5o0
 頂上に近づくにつれて、真紅の見た“それ”の容貌が明らかになっていく。
「あれは……ベッド?」
 頂上にあったもの。それはベッドだった。
「これは……」
 頂上に着いた真紅は、そのベッドを見て驚いていた。
「追いついたですぅ」
 翠星石と雛苺も頂上へとたどり着く。
「何があると思ったらベッドで……なんですかこれは」
 翠星石はベッドを凝視する。に
 ベッドの上には無数の茨がアーチ状生えており、周りを多い尽くしていたのだ。
「まるで寝てる人を守ってるみたいなの」
「寝てる人を……まさか」
 真紅は茨を掻き分けて中を見ようとする。
 必死に掻き分けても、小さな隙間しか開かない。
 しかし、それでも中にいる人物を確認するには充分な隙間だった。
「ジュン!」
 茨の中で寝ていたのは紛れもない桜田ジュン本人だ。
 ジュンの夢の中だから当たり前なわけなのだが。
 真紅は何度もジュンの名前を呼ぶ。
「う……ん……?」
 しばらくして、ジュンが目を覚ます。


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:24:40.17 ID:JaBkgy0qO
巴はJUNなんかほっといて俺の嫁になるべき


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:25:37.29 ID:bQCONE5o0
「ジュン、これはいったい――」
「なんでここにいるんだよ」
 真紅の言葉を遮り、ジュンは厳しい口調で言う。
「あなたが心配だから来たに決まってるでしょう」
「お前たちに心配されるような覚えはないぞ」
「あるわよ。巴から聞いたわ。今日、クラスで喧嘩なんか起こらなかったって」
 沈黙。ジュンは口を閉ざす。
「それに、午後の授業にも出なかったんでしょう?」
「……だからなんだ。ちょっとした反抗期だよ」
「じゃあ頬の痣の説明をしてちょうだい」
「不良に絡まれたんだよ。これで満足か? もう出てけ!」
 そう言ってジュンは布団を頭まで被り、何も言わなくなった。
「ジュン……」
 真紅の後ろで翠星石と雛苺が心配そうに見ている。
「ここまでね」
 真紅は茨の隙間から顔を離して言った。
「そっとしておいてあげましょう。さ、戻るわよ」
「あ、ちょーっと待つですぅ」
「何なの翠星石」
「ちょっと寄って欲しいところがあるですぅ」
 そう言って彼女は出口とは別の方向へと飛んでいく。
 その手には庭師の如雨露が握られていた。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:29:19.45 ID:bQCONE5o0
 翌朝。
 朝食の間、ジュンとドールたちに会話がなかった。
 夢での出来事で気まずい部分があったのだろう。
「それじゃ言ってくる」
 ジュンは鞄を持って玄関に向かう。
 そして、いつもよりも学校に行く前の不安がないことに気付く。
 まるで、自分の心が少し、強くなったような。そんな感覚。
「いってらっしゃいなのー」
 雛苺が慌てて玄関まで駆けてきた。
 見送りだけはしたかったのだろう。
 続いて真紅と雛苺も玄関に駆けつける。
「いってらっしゃいですぅ。無理すんなですよ」
「昨夜はごめんなさいね。いってらっしゃい」
 ――ああ、そういうことか。
 夢。ドール。心。ジュンはいつもより不安がない理由に気付く。


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:34:18.72 ID:bQCONE5o0
「翠星石」
 ジュンは翠星石の前までいくと、「ありがとな」そう言って頭を撫でた。
「な、なにしやがるですかいきなり!」
「あー翠星石ばっかりずるいのー!」
「ああ、お前もありがとな」
 そう言って今度は雛苺の頭も撫でる。
「えへへー」
「お前も」
 最後に、真紅の頭を撫でる。
「わ、私は別にしてほしいだなんて――」
「心配かけてごめんな。もう大丈夫だから」
「…………ええ」
 真紅は顔を真っ赤にして俯く。照れているのだろう。
「す、翠星石だけじゃねーのですか……このチビッ」
「なんか言ったか?」
「な、なーんにも。なーんにも言ってねーですぅ!」
「そうか。それじゃあ」
 ジュンは玄関の扉を開ける。
「いってきます」
 ジュンは学校に向かって歩き出した。


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:38:21.70 ID:bQCONE5o0
 学校に着き、ジュンはまず巴のもとに向かった。
「おはよう柏葉」
「おはよう」
「昨日、家にきたんだって?」
「ええ。桜田君、午後の授業いなかったから」
「心配かけてごめん。皆が思ってるほど、大変なわけじゃないから」
「ううん。いらないおせっかいだったかもね」
「そんなことないさ」
 
 二時限目の授業が終了する。
 休み時間、珍しくジュンは寝たふりをせずに過ごしていた。
「よう、桜田」
 後ろから後頭部を指で弾かれる。
 ジュンをいじめる男子二人だった。
「今日の昼休みもよ、いつものところこいよ」
「……ああ」
 ――今日こそ。変えないと。
 いつもより、少し強くなった自分の心に誓う。
 ――今の状況を。そして今の自分を。


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:42:25.61 ID:bQCONE5o0
 昼休み。
 ジュンは給食の片付けを終えると、校舎裏へと向かう。
 巴はその様子をプリントをまとめながら見ていた。
 ――いつも昼休みいなくなるけど、何をしているんだろう。
「ねぇ巴ー」
 クラスメイトの女子が巴に声をかける。
「ちょっと手伝ってほしいんだけどさぁ」
「なにを?」
「園芸委員の仕事なんだけどさ。もう一人休んでてさ」
「うん、いいよ。でも先生にちょっと仕事頼まれてるからそれ終わったらでいい?」
「全然いいよ。教室にいるから終わったら声かけて」
「わかった」
 そう言って、巴はまとめたプリントを持って職員室へと向かった。

 昼休みになる少し前の桜田家。
 ドールたちは今で話し合いをしていた。
「ジュンが大丈夫だといっていたけれど、やっぱり気になるわね」
「真紅は朝からずっとそわそわしてたですもんね」
「やっぱり頬の痣になにかあるはずよ。昨日の不良に絡まれたも多分嘘ね」
「どうしてわかるのー?」
「ジュンは私の媒体よ。指輪で繋がっているから思考も多少はわかってしまうのよ」
「そ、そうだったんですか?」
「あら、あなた気付いてなかったの?」
「い、いや気付いてたですよ? ジュンはいっつも心の中で翠星石のことを可愛い可愛いと……」
「…………」
「…………」


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:47:04.69 ID:bQCONE5o0
「おふざけはここまでにしておいて」
「な、なにがおふざけですか!」
「翠星石ったら顔真っ赤なのよー」
「うるせーですぅおばか苺」
「いいから聞きなさい!」
 真紅が珍しく声を荒げて、翠星石と雛苺は黙りこむ。
「きっとあの痣は学校でできたものよ。そして授業をサボったことと関係している」
「ここまでの予想は昨日と変わらないですね」
「巴は、一週間前にもジュンが午後の授業をでなかった時があったと言ったわよね?」
「確かに言ってたのよー」
「前回も今回も午後の授業という共通点があるわ。つまり」
「つまり?」
「午後の授業の前、いわゆるお昼休みに何かがあると私はみたわ」
「な、なるほどですぅ」
「すごーい。くんくんみたいなのー」
「だから今日のお昼休みの時間、学校に偵察に行こうと思うのよ」
「翠星石もいくです!」「ヒナもー!」
「そう言うと思ったわ。あと数十分でお昼休みのはず」
 真紅は玄関へと向かう。
「行くわよ。ジュンを助けに」


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:52:21.00 ID:bQCONE5o0
 ジュンが校舎裏の花壇に着くと、いつも通り、男子五人が待ち構えていた。
「今日は何? お金はもうないぞ」
「いや、お金はいいんだ。それよりも大事な話があるんだよ」
 そう言って同じクラスの髪を逆立てた男子がジュンの肩に手を回す。
「俺の姉ちゃんがお前の姉ちゃんと友達なのは知ってるだろ?」
「ああ」
 ジュンは自分が引きこもる前の記憶を引っ張り出し、返事をする。
「それでよ。昨日お前の姉ちゃんの写真を見せてもらったんだよ」
 そう言って、ポケットから一枚の写真を取り出す。
 その写真には、ラクロスのラケットを持ったのりの姿が映っていた。
「お前の姉ちゃんさ、すっげぇスタイルいいよなぁ」
 男子は写真を見ながら下品な笑みを浮かべて言った。
「俺なんてけっこう好みだぜ」
 前方の四人のうちの誰かが言った。
 短髪の男子は巴に好意を持っているので、他のクラスの男子だろう。
「そこでお前にお願いがあるんだけどよ」
 ジュンに顔を近づけて、言う。
「お前の姉ちゃんと一発ヤらせてくれよ。な?」
 ――こいつは何を言っているんだ。
「相当なブラコンなんだろ? お前から頼んでくれよ。俺らもそろそろ童貞卒業したいしよ」
 ――姉ちゃんを侮辱するな。
「いいだろ? この身体つき、抱いてくださいって言ってるようなもんじゃねーか」
 ゴッ。
 鈍い音と共に、ジュンに肩をまわしていた男子は地面に倒れた。
 その様子を、ジュンは拳を握り締めながら見ていた。


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:56:51.31 ID:bQCONE5o0
「桜田てめぇっ」
 他の四人がこちらに向かってくる。
 ――許さないぞ。
 ジュンはのりを侮辱されたことにより、今までにないくらいに憤怒していた。
「うおおおおおおおおおお」
 自ら四人に突進し、内一人を吹き飛ばす。
 そして拳を握り締めて、両腕をむやみにふりまわす。
 何回か他の男子に当たっていたが、効果的なダメージは与えられない。
 ジュンのわき腹に蹴りが入る。
 地面に向かって横っ飛びに倒れる。
 その様子を、ジュンが最初に殴った男子が見下ろしていた。
「上等じゃねえか」
 その口からは血が流れている。
「歯ぁ一本抜けちまったよ。どうしてくれんだ。あ?」
 ジュンの頭を思い切り踏む。
「ぐうぅぅ」
 ジュンは起き上がろうとするが、他の男子二人がジュンを組み伏せてそれを阻止する。
「やめなさい!」
 場違いな女性の声が花壇に響く。
 ――なんで、なんでここでこの声が聞こえるんだ。
「ジュンをいじめちゃ駄目ぇぇぇ!」
「おめーらしばき倒してやるですぅ」
 ――なんで、なんでここでお前たちの姿を見なければいけないんだ。
 花壇のそばにあるフェンス。赤、緑、ピンクの影。
 その上には見慣れた三体の人形が立っていた。
「私の下僕を、ジュンを離しなさい!」
 ローゼンメイデン第五ドール真紅。第三ドール翠星石。第六ドール雛苺。
 彼女たちが校舎裏に現われた。


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:59:07.39 ID:+f/CLh410
これは・・・逆効果じゃ・・・・


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 22:59:42.48 ID:385RTw6m0
下僕とか言っちゃもうおしまいだろ


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:00:21.44 ID:bQCONE5o0
「なんだ、アレ? 人形か?」
「人形が喋るかよ」
「どう見ても人間じゃねーだろ。かなり精巧にできてるけどよ」
 男子たちがドールをみて次々と声を上げる。
「なんでここに来たんだよ!」
 ジュンは真紅に向かって、ありったけの声で叫ぶ。
「あなたが心配だからに決まってるでしょ!」
 負けじと真紅も大声で返す。
「おい、あの人形桜田のか?」
「……しらない。あいつらは僕と関係ない」
「嘘付け」
 ジュンを組み伏せる男子は、関節を決めてジュンに痛みを与える。
「やめなさい!」
 ドールたちはそれを見てジュンを助けようとする。
「ちょーっと待った待った」
 しかし、三人の男子がそれを拒み、それぞれがドールたちを捕まえてしまう。
「離しなさいこの下衆!」
 真紅は巻き毛を鞭のようにしならせ、相手にぶつけた。
 しかし、真紅を離そうとはしない。
「いってぇな。人形ごときがたてついてんじゃねーよ」
 男子は、真紅の頭を掴むと、地面へと叩きつけた。
「真紅!!!」
 ジュンと翠星石、雛苺が同時に声をあげる。
 しかし、そんなものお構いなしといった様子で、男子は真紅の頭を踏んだ。
「やったわね……」
 怒りに震える真紅。
 その手から薔薇の花びらを何枚も出す。
「おっと、変なことしようもんなら」
 男子は真紅の頭を掴み、ジュンの方を向かせた。


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:00:30.80 ID:cc771BVX0
面白い展開になってきた


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:01:33.73 ID:+JCKE3uk0
鬱endは苦手なんだぜ?


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:03:40.33 ID:385RTw6m0
そのまま真紅殺していいよ


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:04:12.71 ID:xs7TIlcz0
>>71
お前って奴は


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:04:21.59 ID:bQCONE5o0
「ああああああああああああああ」
 ボキッという鈍い音。
 ジュンの左腕の骨が折れた音だった。
「ジュン!」
「変なことしたらよ。あんなもんじゃ済まないぜ」
 組み伏せている男子は、次にジュンの右腕を固める。
「場合によっちゃあ両手足全部ボッキボキにしちゃうぜ?」
「くっ……」
 薔薇の花びらが、地面に落ちる。
 攻撃をしたら、ジュンが怪我をしてしまう。
「あ、いいこと考えたー」
 そう言って、男子は真紅の身体を持ち上げた。
「別に身体的苦痛じゃなくてもいいよなぁ」
 嫌な笑みを浮かべて、真紅の右腕を撫でる。
「桜田はこの人形がすげえ大事みたいだからさぁ」
 撫でるのをやめ、二の腕をぎゅっと掴む。
「この人形をめちゃくちゃにすることにするわ」
「おい……やめろ……」
 ジュンの顔が青ざめていく。
 真紅が何をされるか気付いたのだろう。
「やめろおおおおおおおおおお」
 バタバタともがくが、二人に押さえられている状態では、何の意味もない。
「まず一本目?」

 ぶちっ。

 あまりにもあっけない音。
 真紅の身体から右腕がちぎれた。


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:05:20.71 ID:jhRwBBE80
うわああああああああああああああああああああああ


75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/23(火) 23:05:28.32 ID:MaRzJBwx0
ぎゃ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼あああああああああああああああ


77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:06:50.51 ID:+f/CLh410
もうジュとかどうでもいいから殺せよこいつら


79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:07:12.28 ID:bQCONE5o0
「――――――――!」
 真紅は歯を食いしばり、苦痛に耐える。
「真紅ー!」
 翠星石と雛苺は、涙を流しながら声を上げる。
 助けようともがくが、男子に捕まえられていてそれができない。
 いくらローゼンメイデンといえども、自力では人間よりも劣っていた。
「くそおお! くそおおおお!!」
 涙を流しながら、ジュンは暴れる。
「まだまだ終わらないぜ」

 ぶちっ。

 左腕がちぎれた。

 ぶちっ。

 右足がちぎれた。

 ぶちっ。

 左足がちぎれた。

 あっと言う間に、真紅の四肢はもぎ取られてしまった。
 ジュンは狂ったように泣き、叫び、暴れる。


82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:07:51.70 ID:385RTw6m0
マジテンションあがってきた


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:09:39.96 ID:KkGDPpoVO
不人気とはいえこれは流石にかわいそうだ


88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:10:23.91 ID:zsvHp7mJ0
まぁ不人気だからどうでもいいや


95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:11:40.10 ID:bQCONE5o0
「大丈夫よジュン」
 しかし真紅はそんなジュンに笑いかける。
「欠けることはもう恐くないわ」
 ――そうじゃない。
「たとえ身体中の生命の糸がちぎれても、貴方との絆はちぎれない」
 ――そんなのどうでもいい。お前が無事ならなんでもいいんだ。
「さてと、そろそろお終いだな」
 男子は真紅の首を掴む。
「ごめんなさい。下僕一人すら助けられない駄目な主で」
 ――なんでお前が謝るんだ。
 首を掴む手に力が入る。
「ジュン、負けないで――」

 ぶちっ。

 あまりにもあっけなく、致命的な音が鳴る。

 ぼとり。

 四肢のない身体が地面に落ちた。
 男子の手には真紅の首だけがある。
 その目には生気がなく、彼女の人形としての終わりを告げていた。


96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:12:03.94 ID:385RTw6m0
何?真紅やられてテンション上がってるの俺だけ?


100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/23(火) 23:12:33.43 ID:XojXUH5r0
>>96が見えない


105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:15:15.98 ID:KkGDPpoVO
>>96
お前一生アリスになれないな


109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:16:30.87 ID:bQCONE5o0
 暴れていたジュンの身体から、力が抜ける。
「あーらら。そんなに堪えたか」
 そんなジュンの様子を面白そうに見る男子たち。
「まだ終わりじゃないんだぜ」
 真紅を壊したのとは別の男子二人が前に出る。
 その手には、翠星石と雛苺。
 二体とも涙を流し、真紅の名前を叫び続けていた。
「うるせーよ」
 翠星石と雛苺は頬を殴られる。
「時間もねーし、二体まとめてやっちゃおうぜ」
「そうだな」
 そういって二人の男子は翠星石と雛苺の腕を掴む。
「やめてくれ……僕が悪かったから、言うことならなんでも聞くから……だから……」
「あ? 聞こえねーよ」

 ぶちっ。

 ――。
 ――――。
 ――――――――。
 二体の四肢がなくなるのはあっという間だった。
 翠星石と雛苺も、今や胴に首だけだ。
「せっかくだし、とどめは一体ずついくか」
 そういって雛苺を掴んでいる男子が一歩前にでた。


111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:17:24.97 ID:W1KqU/Ff0
てめえ雛苺に手出しやがったな
オチによっては呪うぞこら


113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:18:03.83 ID:385RTw6m0
真紅は死んでかまわないけど翠星石と雛苺はいけないな


115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:18:19.89 ID:xs7TIlcz0
翠星石に手ェ出したな


ころす


116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:20:12.19 ID:3gYUCQ4U0
雛苺にてェ出しやがったな


よし、殺す


121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:22:00.06 ID:bQCONE5o0
「おい、なんか最後にいうことあるか?」
 男子は雛苺に問う。
 しかし痛みで泣きじゃくっており、男子の声は届いていないようだった。
「痛いのー。恐い、恐いのいや。助けてー。真紅ー。ジュンー」
「雛苺おぉぉぉぉぉ」
 ジュンが叫ぶ。
「ジュン……ごめんね。痛いの。痛いのいや。助け――」

 ぶちっ。

「はいしゅーりょー」
 胴と首が離れ、雛苺も動かなくなった。
「チビ苺っ。もういや……もういやですぅ!」
 動かない雛苺の姿を見て、翠星石は叫ぶ。
「次はお前だよ」
 翠星石を掴む男子が前に出た。
「せめてこいつだけでも……見逃してくれよ……頼むから……」
「さて、最後にいうことあるか?」
 男子はジュンの最後の頼みを無視し、翠星石に問う。
「ジュン……」
 翠星石はジュンの方を見つめると、涙を堪えて笑顔を作る。
「もう会えなくなっちゃうですから、思い切って言いますね」
 男子の手が翠星石の頭を掴む。
「翠星石は、ジュンのことがとってもとーっても大好きでし――」

 ぶちっ。

 拷問が、終わった。


126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/23(火) 23:23:35.29 ID:XojXUH5r0
まておちつけこれは夢だ


129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:24:07.91 ID:W1KqU/Ff0
いや俺雛苺のとこ読んでないから雛苺壊されてないし


138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:26:18.29 ID:bQCONE5o0
 ジュンはぐったりとしたまま、動かなくなった。
 絶望に打ちひしがれているのだろう。
 虚ろな目で、ばらばらになったドールだった物を見ている。
「それでねー。あの先生ったら私たちにばっか仕事押し付けてさぁ」
「それはひどいね」
 校舎の方から女子の話し声がこちらに近づいてくる。
「おい、人来るぞ。教室戻ろうぜ」
「そうだな。それじゃ、桜田」
 男子たちはそそくさと校舎へと戻っていった。

「あ、また先生が呼んでる」
 巴と一緒に校舎裏の花壇へ向かっていた女子が、先生に呼び止められる。
「はい、わかりましたー」
 少しの会話で、女子は巴のもとに戻ってくる。
「ごめん、また別の仕事押し付けられちゃった」
「花壇の仕事の方は私がやっておこうか?」
「いいの? ありがと巴ー。適当でいいからね。それじゃ」
 女子は、別の仕事をやりに走っていった。
「さてと、昼休みもあと少しだし、早く済ませないと」
 巴は駆け足で校舎裏へと向かう。
 校舎の角を曲がり、花壇が見える場所まで来て、巴は絶句した。
 そこには見慣れたドールたちの手足、首、胴がばらばらに散乱していた。
 そして一人うつぶせに寝たまま動かない人物。
 ジュンが、ぼろぼろになって倒れていた。


149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:30:29.22 ID:bQCONE5o0
 また別の場所からその光景を見ている者がいた。
 漆黒の羽を羽ばたかせ、上空から俯瞰している。
 水銀燈だ。
 彼女がそこにたどり着いた時、すでに拷問は終了した後だった。
 ばらばらになり、動かなくなった姉妹を、水銀燈は無言で見つめる。
 ――あそこに行けば、ローザミスティカが三つ……。
 頭ではそう考えても、身体は決して動かない。
「……なんなのかしら。この気持ちは」
 悲しいような、切ないような、憎らしいような、負の感情がごちゃ混ぜになった感覚。
 男子たちが校舎に戻っていく様子を見る。
 ――ズタズタにしてやりたい。
 無意識のうちに、そう思っていた。
 水銀燈はそんな自分に驚く。
「まさか姉妹がジャンクになったから悲しいっていうのかしら私は」
 そんなはずはないと自分に言い聞かせるが、心に嘘はつけない。
「結局、どこまでも私たちは姉妹だったのね」
 頬にすうっと涙が流れる。
「これじゃアリスになんて、なれっこないじゃない」
 そう呟くと、水銀燈はその場から飛んで消えていった。


150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:30:42.03 ID:W1KqU/Ff0
実際とか人間ごときがドールズに手も足もでなから
手足もごうとして手首はずれてそこから腐って死ぬから


153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:31:37.35 ID:xs7TIlcz0
>>150
日本語でおk


157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:34:17.10 ID:bQCONE5o0
「桜田君っ!」
 巴はジュンのもとに駆け寄る。
「ねえ、どうゆうことなの? ねえっ!」
 必死に揺さぶり、事情を聞こうとするが、ジュンは何も反応しない。
 なんど声をかけても反応がないので、巴はバラバラになったドールのパーツを集めた。
 それは見慣れたドール、真紅に翠星石。そして、雛苺のパーツ。
「なんで……なんで……」
 なんで彼女たちがこんな目にあっているの。
 巴もその場に崩れ落ちると、溢れんばかりの涙を流す。
 留まることを知らないその涙は、ドールたちのパーツを濡らしていく。

 ――誰かが、泣いている。
 ジュンは泣き声の聞こえる方に顔を向ける。
 巴がドールのパーツを抱き、涙を流していた。
 ――なんで、柏葉がここに。
 巴が抱いているドールのパーツを見て、全てを思い出す。
 拷問の果てに散っていったドールたち。
 自分を慕ってくれていた、偉そうで、生意気で、我がままなドールたち。
 ――僕のせいだ。僕のせいで皆壊れて、柏葉も悲しんでいる。きっと姉ちゃんも……。
 想像するだけで、悲しくなる。


163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:37:52.65 ID:bQCONE5o0
 ――僕が、責任を取らないと。
 ジュンはふらふらな身体をなんとかして立ち上げる。
「桜田……君?」
 巴が声をかけるが、無視をする。
 折れた腕を押さえながら、ジュンは校舎の方へと戻っていった。

 ガラガラと、教室の扉が開く。
 授業中だった教室はシーンとなる。
 ボロボロになった生徒が途中で入ってくれば、そうなるのも当たり前だろう。
「お、おい。どうしたんだ桜田」
 先生の声を無視して、ジュンは自分の席まで戻ると、鞄を手に取る。
 例の男子二人は、ニヤニヤしながらジュンを見ていた。
 だがジュンは二人の顔を見ることもせずに教室から出て行った。

 巴はドールのパーツを抱き、ぼうっとしていた。
 何か、とてつもなく残酷で、悲しいことがここで起きたに違いないのだ。
「ちゃんと事情を聞かなきゃ……」
 そう呟くと同時に後ろから足音が聞こえる。
 振り向くと、そこには鞄を持ったジュンの姿があった。


166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:41:20.76 ID:bQCONE5o0
「ねぇ桜田君、何が――」
「今は、聞かないでほしい」
 そう言うと、巴の腕からドールのパーツを取ると、鞄に詰め込む。
「雛苺、持ってくか?」
「ううん。バラバラになったこの子をこれ以上見たくないし、この子も見られたくないと思うから」
「そうか」
 そういって雛苺のパーツも鞄に詰め込む。
 鞄はパンパンに膨れ上がっていた。
「事情はまた今度、なんらかの形で伝えるから」
 そう言ってジュンは校門にむかって歩き出した。
「桜田君はどうするの?」
 その背中に巴は問いかける。
「しかるべき罰を、やつらに」
 それだけ言うと、ジュンは校門を出て、見えなくなった。
 巴は、しばらく校門の方をぼうっと見ていたが、五時限目終了の鐘を聞き、教室に戻った。

「ただいま」
 そういいながら玄関を開けるが、「おかえりなさい」と言ってくれる人はいない。
「おかえりなさいがないだけで、こんなに寂しいんだな」
 悲しくなるが、涙はもう枯れてしまって流れない。


170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:43:55.15 ID:KkGDPpoVO
やっちまえ


171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:44:49.67 ID:bQCONE5o0
「姉ちゃん、ごめんな。いつも迷惑ばっかりかけて」
 誰もいないリビングで、ジュンは呟く。
「僕のせいで、あいつら皆壊れちゃったよ」
 リビングにある棚の引き出しを開ける。
「最後にもう一回、姉ちゃんには迷惑をかけるよ」
 生活費の入った封筒から札を何枚か取り出す。
「後悔はしない。絶対にやりとげるから」
 そっと、引き出しを閉める。

 日が暮れて夜になる。
 とある公園で五人の男子中学生が花火をしていた。
 ジュンを苛めていた五人だ。
 大量の花火を購入してあるようだ。
 おそらくジュンから巻き上げたお金で買ったのだろう。
「ねみぃ。俺もう帰るわ」
「あー俺も俺も」
「んだよ。ノリわりぃな」
「今日ずっと桜田押さえてて疲れてんだよ。あいつすっげえ暴れるからよ」
「そーか。まあいいや。じゃーな」
「おう」
 そう言って二人の男子は公園を後にした。


176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:48:20.58 ID:bQCONE5o0
「でよー」
「ひゃっひゃ。嘘だろそれ」
 薄暗い夜道を二人が歩いていると、前方に怪しい人影が見えた。
 雨は降っていないのにレインコートを纏い、大きなリュックを背負っている。
「見つけた」
 レインコートの男はそういうと同時に、手に持っていた兇器、金属バットで男子を殴りつけた。
「があっ」
 頭から血を流し、男子のうち一人が地面に倒れる。
 ピクリとも動かない。
 死んでしまったのかもしれない。
「お、お前なんだよ」
 もう片方の男子が逃げようとするが、慌てているのか、思い切りしりもちをついて倒れてしまう。
「ひ、ひぃ……」
 腰が抜けたのだろう。
 起き上がりもせず、後ずさるばかりだ。
「残りの三人はどこだ?」
「へ?」
「いつもつるんでる他の三人はどこだと聞いている」
「ち、近くの公園だ。そこでまだ花火をやっているはずだよ」
「そうか」
 ヒュンッ。
 風を切るとと共にバットが振り下ろされる。
 頭から血を流して、彼は動かなくなった。


177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:48:59.21 ID:T41KB6/h0
うほっwwww何だこの展開wwwww


178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:49:15.88 ID:KkGDPpoVO
いやっっっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおう!!!!


179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:49:55.98 ID:jhRwBBE80
なんという爽快感wwwwwwwwwwwww


185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:51:47.31 ID:bQCONE5o0
「あいつらと、同じ苦しみを味あわせてやる」
 レインコートの男はリュックからノコギリを取り出した。
「バラバラだ」
 ギコ。
 ギコ。
 ぶしゃあっ。
 男は片腕だけで器用に男子二人の四肢を切断していく。
「もう切れなくなった。脂肪で切れにくくなるのは本当だったんだな」
 そう言って、リュックからもう一本、ノコギリを取り出す。
「何本も買っておいてよかった」
 ギコ。
 ギコ。
 ぶしゃあっ。
 あたり一面が血に染まる。
 まるで地獄のような景色だ。
 レインコートの男はノコギリ二本をその場に投げ捨てる。
「さて、残り三人か。待ってろよ。真紅、翠星石、雛苺」


186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:52:08.89 ID:eaDMNhlvO
ざまぁwwwww


188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:52:42.89 ID:xs7TIlcz0
ざまぁwwwwwwwwwwwwwwwwww
ひぐらしすぐるwwwwwwwwwwww


199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:56:21.07 ID:bQCONE5o0
 レインコートの男は公園の入り口にたどり着く。
「おかしいな」
 花火をやっているとのことだったが、物音がまったく聞こえない。
「まあいい、とにかく行ってみるか」
 バットを握り締め、ゆっくりと歩いていく。
 何か、細長い紙のようなものを踏む。
 確認すると線香花火の束だった。
 まだ使われていないようだ。
 さらに進むと、ピチャリという音が足元で鳴った。
 どうやら水溜りがあるようだ。
「これは……」
 レインコートの男はここ数日の天気を思い出す。
「ここ最近はずっと晴れていたはずなのに……っ!」
 つんと鼻を刺す悪臭。
「そうか。これは……」
 血だ。
 今の臭いは死臭だろう。
 となると、彼等三人はもう死んでいるのか?
 早足で前へ進んでいく。
 一本の外灯に照らされて黒い影が見える。
 かつて人間だった肉塊三つと、小さな人影が、灯りに照らされて彼の眼に映った。


204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:58:26.34 ID:jhRwBBE80
銀様キターーーーーーーーー


208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:59:19.29 ID:pX+AJErcO
なんという超展開www
ローゼンwith彼岸島ってかんじだwww
もっとやれwwww


209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/23(火) 23:59:46.44 ID:eaDMNhlvO
梅岡 「掃除しといてやったぞ桜田」


213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:00:17.73 ID:3tKCaXFo0
梅岡って誰だっけ?


216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:00:53.37 ID:GNFQ9CHd0
>>213
JUMの担任


217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:00:58.35 ID:1AGcdBUy0
「……誰?」
 聞き覚えのある声。
 高圧的な女性の声。
 正確にはドールの声だ。
「水銀燈……か?」
「真紅の……マスター?」
 どちらも、互いがここで出会うなんて思ってもいなかったのだろう。
 驚きが隠せないようだ。
「何しに来たの。人間」
「お前こそこんなところで何してんだよ。それに僕にはジュンって名前がある」
「ちょっとした野暮用よ」
「そこにあるのは、人間の死体だな?」
「……それが何か?」
「その三人は僕の知っている人物で……僕が殺すはずの人物のはずだ」
「あなたをいじめて、そして真紅たちをジャンクにしたクズ。そうでしょう?」
「……見てたのか」
「ええ。結構前から見てたわよ。あなたのみっともない姿」
「うるさい」
「あなたがそんなにみっともないから、真紅たちは壊れてしまった」
「…………」
 事実であるため、ジュンは言い返せない。


224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:06:04.30 ID:1AGcdBUy0
「それで、あなたはこのクズに復讐するつもりだったのね?」
「…………」
 ジュンは答えない。
「まあいいわ。もう私が殺しちゃったけど」
 水銀燈は平然と言ってのける。
「そのレインコート、やけに血がついてるけど、残り二人はあなたが殺しちゃったわけ?」
「ああ、そうだよ」
「あらそう。つまんなぁい。私が殺そうと思っていたのだけど」
「お前はなんでこいつらを殺したんだ?」
 ジュンにはそれがわからなかった。
 普通だったら真紅たちが壊れされたからという理由だ妥当だ。
 しかし水銀燈は真紅と仲が悪い。
 それに本気でアリスを目指しているから、ドールたちが壊れるのは彼女にとって好都合なはずなのだ。
「多分ね、あなたと同じ理由よ」
 遠くを見ながら、水銀燈は切なげに言った。
「このクズがのうのうと生きてるのが、我慢ならなかった」
 水銀燈はふっと笑う。
「おかしな話よね。私は真紅が大嫌いだったし、あの子たちが壊れるのはむしろ好都合なはずなのに」
 ――ああ、そうか。こいつも結局は……
「私たちは姉妹だったのよ。誰かが欠ければ、凄く悲しい。こんな感情があるなんて、以外だったわ」
「本当に同じ理由なんだなぁって、よくわかるよ」
 ジュンはその場にしゃがむ。
「こいつらの四肢、全部切断したんだろ? 羽あたりで切ったのか」
「じゃああなたも?」
「ああ」
 ジュンはリュックからノコギリを取り出して見せた。


228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:09:42.05 ID:1AGcdBUy0
「あっはっは。本当に同じこと考えてたのねぇ」
「だな。僕たち気が合うかもな」
「馬鹿いわないでよぉ。私があなたなんかと気が合うわけないでしょぉ」
「それにしてはニヤニヤしてるじゃないか」
 笑い声が夜の公園に響く。
「どうかしてるよな僕ら」
「そうねぇ。姉妹がいなくなってしまったいうのに」
「大切な人形がいなくなったっていうのに」
「笑っているなんて。気が狂ってるとしか言いようがない」
 二人は同時に、言う。
 それに気付き、二人はもう一度、声を出して笑った。

「お前はこれからどうするんだ? やっぱりアリスを目指すのか?」
「そうねぇ。私が倒したわけでもないのにあの子たちがいないのは癪だから」
 水銀燈は羽をばさっと広げる。
「あの子たちが戻ってくるまで、待つわ」
「そうか」
「それじゃ、もう会うことはないかもしれないけれど」
「ああ、じゃあな」
「さようならぁ」
 水銀燈は羽を羽ばたかせ、空へと飛んでいった。
 ジュンに見送られ、漆黒のドールは夜の闇に溶けていった。


232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:12:20.01 ID:1AGcdBUy0
「ただいま」
 玄関をくぐり、家の中へと入っていく。
 レインコートとリュックは捨てた。
 傍から見ても人を殺したようには見えないだろう。
「おかえりぃジュン君。どこ行ってたのよぅ。お姉ちゃん心配しちゃった」
「ちょっとした野暮用だよ」
「あれ? 真紅ちゃんたちは? てっきりジュン君と一緒にいるのかと思ってたけど」
 ジュンはその問いに少し言葉を詰まらせる。
「真紅たちはまだ帰ってこないよ。詳しいことはまた明日話すから」
 そう言って、階段を早足で上る。
「疲れてるから夕飯はいらない。もう寝るよ」
 ジュンは自室に戻る。
 のりはその姿を心配そうに見ていた。

 翌朝。
 土曜日のため、ジュンは学校が休み。
 珍しくのりも部活が休みだった。
 二人して、寝坊して昼前に起きる。
「ジュン君何食べる?」
「なんでもいいよ。適当に作ってくれて」
「適当っていうのが一番困るんだけどなぁ」
 といいつも、のりはニコニコしながらキッチンに向かう。
 その様子を見て、ジュンは自室へ戻る。
 部屋の中には蒼星石と金糸雀がいた。


233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:14:43.25 ID:j89aizz60
蒼星石もっと早く出てこいよww


235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:15:26.38 ID:1AGcdBUy0
「思ったより来るのが早かったな」
「ジュン君から大事な用があるなんて珍しい話だからね。それに人工精霊を使ったのも以外だ」
「カナも同じかしら。というよりもジュンから直接呼び出されるのは始めてかしら」
 そんな二人の周りをベリーベルとスィドリームがくるくると回っている。
 ジュンが人工精霊に頼んで呼んだのだ。
「二人とも驚かないでほしい」
 そう言って、ジュンは鞄を取り出すと、中身を床に出す。
「っ!!!」
「なんで!?」
 床に転がる、真紅、翠星石、金糸雀のパーツ。
「どうか落ち着いて聞いてほしい」
 ジュンはあくまで冷静に話を続ける。
「なぜ真紅たちがこうなってしまったのか。僕の罪の話だ」
 ジュンは全ての事情を話し始めた。


237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:16:12.05 ID:LBCFkYQd0
かなり…あ…?


240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:17:10.15 ID:aGgArKYs0
あ、ありのまま(略


242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:17:27.12 ID:YweFD+Cg0
カナリアww


243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:17:47.45 ID:nwsTS1/V0
カナリアしんでいいのに・・・


246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:18:27.16 ID:2PEnUMFoO
ひないちご の みがわり!
ひないちご に かわって かなりあ が こうげき を うけた !


247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:18:34.17 ID:1AGcdBUy0
 ――。
 ――――。
 ―――――――――。
「そんな……」
「うぅ……」
 蒼星石は愕然とし、金糸雀は泣きじゃくっている。
「全ては、僕のせいだ。謝って許されることじゃないけど」
 ジュンはその場で土下座する。
「本当に申し訳ない」
「違うよ……ジュン君が悪いんじゃない」
「そうかしら……その男子たちが……」
 金糸雀はおもむろにその場で立ち上がる。
「許せない……許せないかしら……。カナが仇を……」
「やめるんだ金糸雀!」
「離して蒼星石! カナが……カナが……」
「大丈夫だよ金糸雀」
 優しい声で、ジュンは金糸雀を止める。
「しかるべき罰はもう与えた。お前が手を汚すことはない」
 金糸雀はその言葉を聞くと、その場にへにゃりと崩れた。


248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:18:59.33 ID:H0gMIm7BO
金糸雀瞬殺www


249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:18:59.33 ID:VjhTSRF30
カバンを見てたカナリアがそのカバンから出てきたってまるでヌケサクだなw


251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:20:45.62 ID:aGgArKYs0
>>249
俺もそれ思ったwww


253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:21:11.73 ID:h+x94At/0
金糸雀「気がつけば死んでいたかしら」


254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:22:07.81 ID:1AGcdBUy0
「悔しい……悔しいかしら……」
「僕もだよ金糸雀」
 蒼星石は金糸雀を抱きしめる。
「でも、受け入れなきゃならない。そうでしょ? ジュン君」
「ああ」
 ジュンはそのまま金糸雀が泣き止むのを待った。
「お前たちに、これを受け取ってほしい」
 ジュンはそう言って、ある物を取り出した。
「これは……ローザミスティカ」
 ジュンが取り出したのは二つのローザミスティカ。
「翠星石のを蒼星石に、雛苺のを金糸雀に」
 ジュンはローザミスティカに渡す。
「真紅のはどうしたのかしら?」
 金糸雀はひとつだけ見当たらないローザミスティカに疑問を抱く。
「真紅のローザミスティカなら、今頃お前たちのお姉さんのところにいってるはずさ」
 蒼星石と金糸雀の姉。
 つまりローゼンメイデン第一ドールだ。
「なぜ水銀燈のところに? 彼女は真紅を嫌っているはずだ」
「そうかしら! 水銀燈に渡す意味がわからないかしら」
「詳しくは言えないが、あいつにも持っててもらいたいんだ。これは僕の我がままなんだけど」
「でも!」
「金糸雀、ジュン君がそういうなら、信じようよ」
「蒼星石……」
「僕の大好きな姉が大好きだったジュン君。僕は君を信じるよ」


ミスに今気付いた。
金糸雀じゃねーよ雛苺だよまったくもう。
誰かタイムマシンちょうだい。



255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:22:50.59 ID:GNFQ9CHd0
>>254
気にすんな雛苺のパーツも巴のところのはずだ


259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:24:14.15 ID:uuw3lDwf0
   ヽ(・ω・)/   ズコー
 \(.\ ノ


260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:24:34.82 ID:1AGcdBUy0
「ああ、ありがとう」
 ジュンは嬉しそうに答える。
 少しの沈黙。
「最後に」
 ジュンがそれを破る。
「お前たちに聞きたいことがある」
「なあに?」
「なにかしら」
「あいつらがいなくなっても、お前たちはこの時代に居続けるのか?」
 少しの沈黙。
「カナはまだこの時代に居続けるわ。みっちゃんと一緒にいたいから」
「僕も居続けるよ。マスターが心配だからね。それに」
「それに?」
「真紅たちがいなくなって、ジュン君が寂しいだろうから、たまに遊びに行ったりしてあげたいしね」
「か、カナも遊びにいくかしらー」
 そんな二人を見て、ジュンは思わず微笑む。
「ありがとうな。でも……」
 ピンポーンと、インターフォンが鳴る。
「○○署の者ですが――」
「その必要は多分ないよ」


267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:27:05.76 ID:sxslLVzX0
現場の包丁を調べるまでもなかっただろうな


268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:27:49.78 ID:1AGcdBUy0
 ジュンはその場で立ち上がる。
「ああ、でも姉ちゃんが一人になって寂しいと思うから、時々遊びに来てくれ」
「?」
 金糸雀はジュンが言っていることが上手く理解できないようだ。
「ジュン君……まさか君は」
 蒼星石は気付いたみたいだが、そこから先を言わない。
「言ったろう、しかるべき罰を与えたって」
 ジュンは部屋の扉を開ける。
「もう会えないかもしれないな」
「待ってジュン君!」
 蒼星石が制止しようとするが、その前にジュンは扉を閉めた。
「僕も、しかるべき罰を受けなきゃな」
 階段をゆっくりと下りていく。
 玄関にしどろもどろののりと、コートを着た刑事らしき人が見える。
 無意識のうちに、足の動きが止まる。
 ――まいったな。僕はやっぱり情けない。
 手には二通の手紙。
 のりと巴に向けた、一連の騒動についてのことを書いた手紙だ。
 ――これを姉ちゃんに渡して、刑事についていけば、全てが終わるんだ。
 階段の途中で止まっていた足をもう一度、動かし始め、全てを終わらせるために、玄関へと向かう。

「いってらっしゃいジュン」

 そんな真紅の声が、聞こえたような気がした。




273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:30:24.51 ID:1AGcdBUy0
とまあ、これで終わりです

エピローグもあるんだが、見たい人いるか?
僅か3レスだし質も本編に比べて落ちるが



279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:31:58.92 ID:tkiMk9/K0
>>273
勿論見たいに決まっている!さぁ早く!



280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:32:31.32 ID:1AGcdBUy0
 エピローグ。

 町の外れにあるドールショップ。
 柏葉巴はそこで働いていた。
 人形を作る先生と巴だけの小さなお店だ。
 巴は店の中の商品の整理をしていた。
「このブローチはここで……」
 
 あの騒動から十年以上の時が流れた。
 雛苺たちは壊れ、ジュンは殺人の罪で捕まってしまった。
 巴はドールたちのことが忘れられず、ドールショップで働いていた。
 いつも頭にあるのは、雛苺たちとジュンの姿。
 あの出来事以来、のりと会うことも少なくなり、ジュンに関する情報はほとんどなかった。
「ぐだぐだ考えてもしかたないよね」
 商品の整理がひと段落つき、汗をぬぐう。
 チリーンという鈴の音。
 扉が開き、お客が入ってきた。


283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:33:16.15 ID:OsNPhPqhO
俺も真紅たちが来たときのために仕事やめて
引きこもりになってたほうがいいって事だな


286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:35:19.70 ID:IiTTE1GD0
>>283
俺も明日から学校行くの止めるわ


288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:35:26.44 ID:1AGcdBUy0
「いらっしゃいませー」
 店に入ってきたお客は一目散に巴のもとに近づいてくる。
 巴はそのお客の顔に懐かしさを感じる。
 昔どこかで見たような顔。
 一瞬にして昔の思い出が蘇ってくる。
 雛苺たちと過ごした短い期間の記憶。
「桜田……君?」
 巴がそう呟くと、お客は目を見開いて、巴の顔を見る。
「柏葉……なのか?」
「うん、そうだよ。もうこっち出てきたんだね」
「ああ。そんなことより、ここの先生を呼んでくれないか」
「先生?」
「ああ、どうしてもお願いしたいことがあるんだ」
「でも先生は今作業中だから……」
「頼む、呼んでくれ」
「……わかったわ」
 お客――ジュンの熱意に負け、巴は店の奥にある工房へと入っていく。
「先生、お客様です。どうしても今話したいことがあると」
「わかった。今行こう」


293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:38:37.36 ID:1AGcdBUy0
「桜田君」
 巴が工房から出てくる。
 その後ろから、背の大きい男性が現われた。
 外国人なのだろう。
 金髪で青い目をしている。
「やあ、何の御用かな」
 流暢な日本語で、ジュンに話しかける。
「ああ、僕は――」
 簡単な自己紹介。
「桜田ジュンです」
「ジュン君か。それで、僕に話とは?」
「大事な、大事なお願いがあります」
「ほう、そのお願いとは?」
「僕に――」
 ――あの笑顔を、あの日常をもう一度。

「僕に人形の作り方を教えてください」

 ――Fin




296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/24(水) 00:39:29.02 ID:G/Iawv8Z0
乙!!!


298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:39:54.31 ID:OQYFznZoO
>>1

なかなかだった


309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:41:47.02 ID:iETJrg12O
>>1乙
カナの凄みを感じられて
ピチカー党員としても満足です


310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:41:51.69 ID:1AGcdBUy0
ここまで見てくれた人ありがとうございました

最初はだいぶレスがなくて落ち込んでたけど
真紅壊れたあたりからいきなり増えてびびったよ

あと>>235のミスは痛かった。泣きたくなったまじで

とにかくありがとうございました


311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/24(水) 00:42:34.73 ID:YFYfvIuR0
>>310
おつおつ


318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/09/24(水) 00:45:03.53 ID:erS5nAlfO
おつ

良かったよ


326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:49:08.47 ID:1AGcdBUy0
>>323
長編も今回以上のクオリティを出せるように頑張りたい

それではノシ


327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/24(水) 00:50:42.52 ID:h+x94At/0
>>1おつ
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再開してたのか
管理人乙です
2008/10/07(火) 14:24 | URL | 語る程の名前はない #-[ 編集]
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